雨と砂漠のお話
今回は、雨と砂漠(さばく)についてのお話です。
砂漠では、めったに雨が降りません。
日本では、季節によって量の多い少ないはあるものの、
一年を通じて雨(雪)が降ります。
これに対して、例えばアフリカのサハラ砂漠では、
何ヶ月も雨が降らないこともあるようです。
どうしてこのような違いが起きるのでしょうか?
雨と雲
そもそも、雨が降るためには、雲が必要です。
雲は、簡単にいえば、空気中の水蒸気が空高く上昇(じょうしょう)したときにできます。
上空は、地表よりも圧力が小さいので、上昇した空気は膨張します。
このときに起きる膨張は、「断熱膨張(だんねつぼうちょう)」とよばれるもので、
まわりの温度は下がります。
実験してみよう
自転車のタイヤに空気を入れるときに、ピストンを勢いよく押すと、
空気入れが暖かくなっていることがあります。
これは、「断熱圧縮(だんねつあっしゅく)」という現象で、上の「断熱膨張」とは逆に、
圧縮すると温度が上がります。
ご自宅に空気入れがある方は、ぜひ体験してみてください。
雨は降る?
さて、空気が冷やされると、
含まれていた水蒸気が液体の水に変わり始めます。
こうしてできた液体の水が集まったものが雲なのです。
日本は、まわりを海に囲まれているので、
空気には水蒸気がたくさんふくまれています。
そのため、低気圧や前線の影響で上昇気流ができると、
雲がムクムクと発生して雨を降らせます。
一方、サハラ砂漠のように、緯度(いど)が30度くらいのところでは、
中緯度高圧帯とよばれる高気圧に年中おおわれていて、
上昇気流が非常に発生しにくくなっています。
そのため、雲ができず、雨もほとんど降らなくなっています。
雨が降らなければ、ほとんどの植物は生きることができないので、
そこは砂漠になってしまいます。
まとめ
砂漠ができる原因は他にもあります。
海からの距離や地形的な条件、
あるいは森林伐採などの人為的要素によって、
空気中の水蒸気が少ない、
上昇気流が起きにくい、といったように、
さまざまな原因が考えられていますが、
どれも雲が発生しにくい、という点では共通しています。
このお話は、2011/09に CAST@NET で配信されました