コラムアルメデスと王冠(おうかん)
アルキメデスと王冠おうかん

アルキメデス

古代こだいギリシャの科学者として名をのこしているアルキメデス。数学者すうがくしゃ物理学者ぶつりがくしゃ技術者ぎじゅつしゃ発明家はつめいか天文学者てんもんがくしゃとして、多才たさいさを発揮はっきしました。「てこの原理げんり」の解明かいめい、「円周率えんしゅうりつ」の計算など様々さまざま功績こうせきのこしていますが、今回は、「浮力ふりょく」に関係かんけいしたお話をってみましょう。

王冠おうかんは本当に純金じゅんきんで作られている??

アルキメデスはある日、王様おうさまから、職人しょくにんつくった王冠 おうかん純金じゅんきんつくられたものか、王冠 おうかんこわさずにたしかめよ、という命令めいれいけます。その王冠 おうかんにはきんをいくらからしてわりに ぎんぜてあるという告発こくはつがあったからです。

職人しょくにんわたしたぶん同量どうりょう金塊きんかいくらべてみても、王冠 おうかんおもさはおなじでした。その当時とうじおな体積たいせき のものでも、きんぎんではおもさがちがうことはられていました。この、体積たいせき1cm3あたりの質量しつりょうのことを「密度みつど」といます。ちなみに、純金じゅんきん密度みつどは19.32g/cm3ぎん密度みつどは10.50g/cm3です。純金じゅんきんぎんおなおもさでくらべると、ぎんほうが、やく2倍体積ばいたいせきおおきいというわけです。アルキメデスも、純金じゅんきん王冠おうかん体積たいせきくらべてみて、体積たいせきおなじなら王冠おうかん純金じゅんきんでできているし、体積たいせきちがえば王冠おうかんにはぎんざっている証拠しょうこになる、とかんがえました。

王冠おうかんかしてしまえば体積たいせきはわかりますが、それでは、王冠おうかんこわさずに、という王様おうさま命令めいれいまもれません。そこでなやんでしまいますが……自分じぶんがお風呂ふろはいったときにお湯船ゆぶねからあふれるのをて、あふれたぶん体積たいせき自分じぶん水中すいちゅうはいった部分ぶぶん体積たいせきひとしいとわかり、「Eurekaエウレーカ!(わかった!)」とさけんではだかのまままちけた、というはなし有名ゆうめいです。純金じゅんきん王冠おうかんみずひたすと水面すいめんたかさの変化へんか体積たいせきちがいがわかるとかんがえたというせつ有力ゆうりょくですが、本当ほんとうにそれで体積たいせきちがいがわかるでしょうか?ざっくり計算してみたとしても、純金じゅんきん王冠おうかんでは、水にひたしたときの水面すいめんたかさの変化へんかは1cmにも満ちません。当時とうじ技術ぎじゅつでは測定そくていするのは困難こんなんだったことでしょう。

浮力ふりょく」を利用りようして……

現実的げんじつてき方法ほうほうは、物体ぶったいの「浮力ふりょく」を利用りようする方法ほうほうです。「浮力ふりょく」とは、液体えきたいなか物体ぶったいける、物体ぶったいけた液体えきたいおもさにひとしいおおきさの力のことで、物体ぶったいきに力を受けることになります。つまり、純金じゅんきん王冠おうかんを水にひたすと、それぞれが水をし出した体積たいせき相当そうとうする水の重量じゅうりょう分の浮力ふりょくけます。体積たいせきちがえば、双方そうほうの重さは同じでも受ける浮力ふりょくの大きさはことなります。図のように、ぼうはかりの両端りょうたんに同じ質量純金じゅんきん王冠おうかんを下げ、水にひたすと、浮力ふりょくちがいの分だけはかりがかたむきます。こうして、王冠おうかんにはぎんざっていることが判明はんめいしたのです。王冠おうかんこわさずに解明かいめいできて一件落着いっけんらくちゃくですね。

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