コラム音の指向性
音の指向性
皆さんは車に一度は乗ったことがあると思いますが、音楽やラジオを聞いた時、色々な場所から音が出ているのには気付いていますか?実は車内には複数のスピーカーが設置されており、それぞれ違う高さの音を出しています。でもどうしてこのようなことが必要なのでしょうか?実はこれには、「指向性」という性質が関係しているのです。
指向性って何だ?
では、指向性って何なのでしょうか?簡単にいうと、「ある方向に音をどれだけ強く届けられるか」です。わかりにくい場合はメガホンを想像してみてください。普通に声を出すと声が広がってよく伝わりませんが、メガホンを使うことで声がよく伝わりますよね?これはメガホンの中で、声を反射させて集めているからです。これが「声に指向性を持たせる」ということです。高い音は指向性が強いため、音が遠くへ伸びていきますがあまり広がりません。逆に低い音は指向性が弱いため、あまり遠くへは届きませんがよく広がります。こんな性質があるので、高い音を出すスピーカーと低い音を出すスピーカーを分けて、それぞれ適切な場所に配置することで、臨場感あふれる音楽を流すことができるのです。
実は指向性は音だけでなく、光や電波なども持っています。光の指向性を見ていきましょう。豆電球の光は、全方向にまんべんなく光を出しているため、指向性を持たない、つまり無指向性といえます。では指向性を持つ光というと・・・?皆さんのよく知っているものではレーザーや虫眼鏡で集めた光などが該当します。ただし、光に高い指向性を持たせるだけではレーザーは作れません。光は波でできているので、波の長さ、山と谷を全て合わせてあげることで初めて一般的にレーザーと呼ばれるものになるのです。
受け取る側にも指向性
上で述べたのは音を「出す」時の指向性でした。しかし実は音や光、電波を「受け取る」ものにも指向性はあるのです。例を出しながら見ていきましょう。音を受け取るものといえば何でしょうか・・・?そう、マイクですね。マイクには用途に応じていろいろな指向性を持ったものが存在します。例えば会議などで周りの音全てを記録したいときには無指向性マイク、漫才などでステージ上に立つ人の声だけスタンドで拾いたいときには単一指向性マイク、といった具合です。電波を受け取るアンテナにも同じように種類があります。Wi-Fiを通じてデータを送ったり受け取ったりする無線LANは、一般的なものは周囲で何人かが使うことを想定しているので無指向性です。一方、テレビを見るために電波を受信する屋外アンテナは、電波塔から送信されるテレビの電波以外を受け取らないようにするために、ほとんどが指向性アンテナとなっています。用途に応じて指向性が必要かどうかちゃんと見極めることが大事なのですね。
終わりに
いかがだったでしょうか?今回紹介した指向性ですが、二方向の指向性なんてものも存在しますし、また音や光は指向性だけに留まらず様々な面白い性質を持っています。このコラムを読んでもし指向性や音に興味を持ってくださったなら、是非お家で調べてみてください。
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